彼女の死

こちらはWebアンソロジー企画「うかはか」企画参加作品です。
題材ゴーストは「片隅の小屋」、キャラクターはシャルキスとなります。


    ――彼女が、死んだ。

    ……その理由は、誰かに殺された、だとか、事故で、とか、私がいつも経験するものじゃなかった。

    死因は、病死。

    そう、彼女は病を患っていた。
    初めて出会ったその時から。

    それを知ったのは死ぬ前日。
    「もうそろそろ死にそうな気がするから」と、全部を話してくれた。

    確かに、時折辛そうに咳をしていた。
    だがそれは彼女は少し病弱だからだと言った。
    私もネオンもそれを信じて、彼女が病を患っていたと全く気付く事が出来なかった。
    気付いていたらあんなにも冷たい言葉を吐く事はきっと……いや……なおさら来るなと、酷い事を言ったような気もする。
    彼女は、どんなに病で辛い日も私達の元へ訪れていた。
    私のどんな冷たい言葉も耳を塞がず聞き続けた。

    それがどうにも理解出来ず「何故だ」と聞いた。
    そうすると彼女は笑って「分かっていたから」とそう言った。

    ……一体、何を分かっていたというのだろうか。
    必死に拒絶していたというのに。
    分かっているなら立ち去って欲しかった、二度と来ないで欲しかった。

    そうすれば私は今こんなにも悲しくなる事はなかっただろう。

    あぁ、涙が溢れて止まらない……。

    ……だが……彼女に会えたのは悪くなかった……いや、良かった。
    きっと私は変わるだろう……。

    ……いや、変わろう。
    彼女との事を無駄にしない為にも。

    私は涙を拭って無理矢理笑顔を作ると「また会いに来るからな」そう言って彼女の墓の前から立ち去った。

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