前を向こう
こちらはWebアンソロジー企画「うかはか」企画参加作品です。
題材ゴーストは「片隅の小屋」、キャラクターはネオンとなります。
題材ゴーストは「片隅の小屋」、キャラクターはネオンとなります。
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こんなに早く死ぬなんて思ってなかった。
まだもっと一緒にいれるんだってそう思ってた。
だって、まだ、足りない。
もっと、たくさん話がしたかった。
思い出も、たくさん作りたかった。
――……彼女は病気だった。
病気だって全然気付かなかった。
僕も、シャルキスも。
時々、辛そうにしてたのだって、彼女がちょっと病弱だからって、そう言ったのを信じちゃってた。
どうして信じちゃったんだろう。
もっと疑えば良かった。そしたらもっと……彼女の為に……。
そう思ってしまって、はっとして首を横に振る。
今、後悔したって意味がないんだ。
もう彼女はいないんだから。
どんなに悔いても彼女は帰ってこない。過去にも戻れない。
天国にいるだろう彼女を苦しめるだけ。
目から溢れ出す涙を拭う。
「ごめんね、ありがとう」
笑って空を見上げてそう言った。
言うとまた涙が溢れてきたのでそれを拭う。
彼女と出会えたおかげでシャルキスはきっと変わる。
前を向けるようになる。
だったら僕も、暗い顔なんてやめていつもみたいに前を向こう。笑っていよう。
それからしばらくして帰ってきたシャルキスを僕は笑顔で出迎えて「おかえり」と言った。